第3回アフリカ地域分科会 ~なぜ今、アフリカなのか?教育・産業人材育成から見えるアフリカの魅力~
令和4年7月28日(木)に第3回アフリカ地域分科会を開催いたしました。
本分科会では、アフリカの最新のビジネス環境や高等教育分野での動向を踏まえ、アフリカ地域での展開や現地機関との連携の可能性について、具体的な実践例も交えて4名の講師の方からそれぞれの視点でご講演いただきました。なお、本分科会は外務省TICAD8パートナー事業として認定されました。
当日は70名以上の方がご参加くださいました。心よりお礼申し上げます。
プログラム
時間 | 内容 | 講師 |
---|---|---|
16:00~16:05 | 開会あいさつ -EDU-Portニッポンの紹介 |
文部科学省 大臣官房国際課 海外協力官 生田目 裕美氏 |
16:05~16:30 | アフリカビジネスの最新動向 | JETRO海外調査部 中東アフリカ課 課長 佐藤 丈治氏 |
16:30~16:55 | JICAのアフリカ高等教育における協力・連携と今後の展望 | (元)JICA国際協力専門員(高等教育) 角田 学氏 |
16:55~17:05 | コロナ禍でもアフリカで広がり続ける『ICTx探究実践』メソッド | 神戸情報大学院大学 副学長・特任教授 内藤 智之氏 |
17:05~17:15 | スプリックスが目指す「日本型教育」の海外展開 -アフリカにおけるTOFASの事例- |
株式会社スプリックス コンテンツ事業本部 事業本部長 梅田 修平氏 |
17:15~17:30 | 質疑応答・ディスカッション | |
17:30 | 閉会挨拶/アンケート | EDU-Portニッポン事務局 |
プログラム
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講演資料
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1. JICAのアフリカ高等教育における協力・連携と今後の展望(JICA)
2. コロナ禍でもアフリカで広がり続ける『ICTx探究実践』メソッド(神戸情報大学院大学)
開催報告
■アフリカビジネスの最新動向
佐藤 丈治氏 <JETRO海外調査部 中東アフリカ課 課長>
アフリカ地域におけるビジネスの動向について、様々な最新データから多角的に説明くださいました。
(概要)
アフリカ地域における対内直接投資額は2021年に過去最高を記録しました。スタートアップ企業への2021年の投資額は前年比の3.6倍となる等、アフリカ経済はダイナミックに成長しています。加えて、日本による対アフリカ貿易・投資はコロナ禍の影響もありやや停滞状態にあるものの、アフリカの「消費市場」「インフラ」「資源・エネルギー」を今後の有望なビジネス分野として捉える日本企業が少なくありません。アフリカにおける人口増加、他国とアフリカ地域間での関係強化の動向を踏まえ、日本は今後、アフリカ地域との関係性を「援助からビジネス」へと転換しつつ、長期的視点からアフリカ地域との対等なパートナーシップを構築していく必要があると考えます。
■JICAのアフリカ高等教育における協力・連携と今後の展望
角田 学氏 <(元)JICA国際協力専門員(高等教育)>
アフリカの高等教育分野におけるJICAの取組、日本企業等と現地の大学間の連携事例、今後の展望についてご説明くださいました。
(概要)
アフリカの高等教育で特筆すべきこととして、全アフリカ地域の高等教育ネットワークである汎アフリカ大学大学院(PAU)構想があります。PAUのうち、アフリカ東部地域のホスト大学であるケニア国のジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)ではJICAの協力・連携事業が行われています。在来知(アフリカ在来の知識・資源・経験・知恵)を活用し、これに日本の「ものづくり」の考え方を適用することでイノベーションを実現させるという「アフリカ型イノベーション振興(ai)」という支援戦略のもと、さまざまな活動を行いました。JICA民間連携事業の枠組みを活用した日本企業とJKUATの連携事例からも、アフリカで事業展開を考える企業にとって、現地の大学との連携には魅力があると考えます。JICAによるアフリカ高等教育に対する支援は、今後は日本国内機関・国際機関・アジアの拠点大学との連携強化による人材育成、現地の課題解決に向けた知識共創の推進という方向性のもとで展開される予定です。
■コロナ禍でもアフリカで広がり続ける『ICT×探究実践』メソッド
内藤 智之氏 <神戸情報大学院大学 副学長・特任教授>
「ICT×探究力」を理念とする神戸情報大学院大学(KIC)での実践的な取組に加え、アフリカ出身のKIC修了生が、「ICT×探究力」を自国でどのように活用しているかについて、具体例をもとにご紹介くださいました。
(概要)
同大学院はICT系科目に加え「探究実践」科目を学生が履修することを通じて、国内外の社会課題を深く掘り下げた上で、ICTを用いて課題を解決する人材を輩出することを目指しています。世界的なコロナ禍のもとで「探究インストラクター」(KICによりインストラクターとして認定された修了生)が、ルワンダでのICT人材育成事業で活躍したり、「探究実践」を理念とする企業を設立したりするなど、「ICT×探究実践」メソッドの考え方はアフリカでも広がり続けています。
■スプリックスが目指す「日本型教育」の海外展開 -アフリカにおけるTOFASの事例-
梅田 修平氏 <株式会社スプリックス コンテンツ事業本部 事業本部長>
セネガルでの実践を通じて知ったアフリカの基礎教育分野におけるニーズや展開可能性、スプリックス社の国際基礎学力検定(TOFAS)を実際に展開することとなった経緯等について、ご紹介くださいました。
(概要)
セネガルにてJICAと協業して実践した「フォレスタネット」(教員間の情報共有プラットフォーム)では、日本の教員とセネガルの教員での学び合いが行われています。同取組から、アフリカ地域では基礎的な学力を習得できるような学習環境へのニーズの高さ、平均所得を下回る家庭出身の児童生徒の基礎学力には「のびしろ」があるという知見を得ました。スプリックス社の国際基礎学力検定(TOFAS)では、それらの基礎学力定着に必要な「のびしろ」の把握が可能であり、また国際的に同検定を展開することで、国際間での基礎学力の比較が可能となります。具体的には、エジプト教育省との連携が始まっています。
本分科会への事後アンケートでは、「90分の限られた時間ではあったが(一部省略)全体として大変充実したウェビナーであった」、「ビジネス、教育、教育ツールの観点から(一部省略)全てが繋がっていることを実感できる内容だった」、「アフリカ全体というくくりが大きすぎると感じる程、アフリカ地域が発展してきている。(一部省略)地域別もしくは国別の分析が欲しい」、「アフリカはもはや支援先ではなく、ビジネスの現場である、というお話に目が覚めた気がする」等のコメントが寄せられました。
EDU-Portニッポンでは、今後もアフリカ地域における日本型教育の海外展開に注目してまいります。