機関名 | 国立大学法人東京学芸大学附属竹早小学校 |
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取組のタイトル | 絵や動画に音楽をつけよう |
実施地域(国・都市) | 日本(東京都) |
1.概要
絵画や映像に合う音楽を選ぶことを通して,児童各々が自ら音楽に関わり、これまでに学んできた音楽の見方・考え方を働かせながら取り組むことをねらいとして計画した学習である。次項で示すように3つの段階で学習を進めた。本学習はコロナ禍における学びを継続するために次の2点を念頭においた。第一に、同期、非同期で取り組む内容の指針を明確にした。同期では、学習を進めていく上で必要になる技能・知識を学ぶことや、自身や友だちの作品を通して学びを深めることに重点を置き、非同期では、子ども各々が課題に取り組むことに重点を置いた。第二に、webファイル共有システムを経由して課題を提出させた。本学習ではほぼすべてPCやタブレット端末を使用して課題に取り組んだ(一部例外あり)。よって、課題で生成したデータはwebファイル共有システムを経由して提出することとした。
2.学習の実際
(1)第1次 絵に合う音楽を選ぼう(休校中 非同期:課題に取り組む)
音楽の教員と図画工作の教員共同で「絵に合った音楽を選ぶ」宿題を出した。絵は図画工作の教員が選定し、それを使用して音楽の教員がワークシートを作成。児童はワークシートに書かれた項目に沿って課題に取り組んだ。
(2)第2次 音楽を手がかりに絵を見つけよう(学校再開後 同期:仲間が選んだ音楽から絵画を当てる)
「友だちが選んだ音楽から絵を当てよう」というクイズ形式で、各々が取り組んだ課題を学級全体で共有する場を設定。児童は友だちが選んだ音楽を聴くことを楽しみながら,その音楽がどの絵を表しているかを考えた。回答する際には「この音楽は速くてリズムが規則的、だから都会の風景を表した③の絵を選んだ」というように、それを選んだ理由を述べることとした。
(3)第3次 動画に合う音楽をつけよう(学校再開後 非同期:課題に取り組む 同期:仲間の作品を観賞する)
自身の作品を紹介する形式で、各々が取り組んだ課題を学級全体の前で発表する場を設定。児童は「音楽を選ぶ」だけではなく、音楽を入れるタイミング、音楽の終わり方、場面ごとに音楽を変える、効果音を入れる、自身で音を録音したものを入れるなど、事前に教員が説明した以上の方法を用いて動画に音楽をつけた。
3. おわりに
児童は本学習を通して、音楽から聴き取ったり感じ取ったりしたことをさまざまな場面で言語化した。そうしたことによって、以前は漠然と音楽を「〜感じ」と捉えていたのが、「都会的な感じがしたのはテンポが速く、同じリズムを規則的に繰り返しているからです」といったように構造的に説明できるようになった。加えて、課題に取り組む過程で児童は映像に合う音楽を探すために、絵の印象を拠り所に、たくさんの音楽を聴いて選んだという話も耳にした。絵や動画に音楽をつけるというシンプルな学習であるが、その過程で自身が納得のいく音楽に出会うまでさまざまな曲を聴き、その曲のどの部分を合わせるか、どのように始め、どのように終わるかを試行錯誤した様子であった。音楽科にとって厳しいご時世ではあるが、これまでの授業観に囚われることなく、「子どもが自ら音楽と関わる姿」を追い求めることが、withコロナ・afterコロナの授業を検討する上で重要になることを実感した学習活動であった。