モンゴルでは平成18年~平成25年まで、独立行政法人国際協力機構(JICA)が技術協力プロジェクト「子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト」を実施しました。プロジェクト終了後も子ども中心の指導法を実現すべく指導法改善に取り組むことを目的として、モンゴル側関係者が設立したのがNGO「モンゴル授業研究協会」です。
令和5年11月6日~10日、同協会主催の日本スタディツアーが実施され、モンゴル国教育総合庁、地方の教育科学局職員、学校教員等計18名が参加しました。EDU-Portニッポンでは、海外の教育関係者による日本の学校視察を支援する「スクールビジット」の一環として、同スタディツアーの学校訪問等の調整と、視察の同行を行いました。
ツアー初日には東京学芸大学 福地昭輝教授を交えて参加者の本スタディツアーへの抱負等を確認した後、千代田区にある科学技術館を訪問しました。
翌7日午前は、東京学芸大学附属幼稚園小金井園舎を訪問し、山田有希子副園長のご案内で日本の幼児教育の特徴とも言える遊びを通じた学びの様子や環境の整え方などを見学しました。午後は小金井中学校において、授業の様子や学校の施設の見学、坂口謙一校長、村上潤副校長から大学附属学校が担う教員養成や教育研究の役割についてもご説明いただきました。
11月8日は小金井小学校にて、小森伸一校長に、体験学習など同校の特色ある教育についてご紹介いただいた後、鈴木秀樹教諭による4年生社会の授業を見学しました。その後、附属学校運営部 関田義博教授、佐藤牧子養護教諭からインクルーシブ教育実現のための児童の居場所づくりやICTの活用について講義いただきました。さらに東京学芸大学 渡辺理文准教授が実験を交えながら、理科の授業研究・教材研究に関する講義を行いました。
11月9日は、習志野市立実花小学校で開催された算数科公開研究会「子どもたちが主体的に学び合う算数科学習~充実した比較検討の場を目指して~」に参加しました。
ツアー最終日の振り返りでは、以下のような気付きが得られたとの声が聞かれました。
- 日本の学校では、社会や生活に近く、具体的で実現可能な目標を設定し、子どもたちの学習を中心に、関係者が皆で取り組んでいることが印象的だった。
- 一つの授業で多くのことを詰め込もうとせず、教員は分かりやすい問いを提示し、多くを説明せず、児童自身が教材に触れながら理解を深められるように工夫していた。
- 見た目が良いものが良い教材ではなく、シンプルであっても授業の目的に合っていることが重要であり、身近なものを活用して教材を準備できることが分かった。
- 子どもの多様性を理解し、学習や生活の困難があればその原因、一人一人に合った支援の方法を考えて、管理職、教職員がチームとなって取り組むことが大切だと気づいた。
「帰国後、板書時にはチョークの色を使い分けること、教材を手作りすることなど、今回のスタディツアーで得られたアイディアを実践しようと思います」「同じ地域の若手教員を支援するセンターを立ち上げる予定です。日本の学校で行われている研究活動を参考にします」といった声も聞かれました。