エジプトの高校生と日本の高校生が技術交流を行いました。(令和5年度応援プロジェクト:大阪府立城東工科高等学校)

大阪府立城東工科高校とは?

本校は大阪府の東部に位置し、中小企業が集積する東大阪市で、地域に密着したものづくり教育を実践しています。昭和3年に大阪府立第四職工学校として創立され、昭和4年4月に大阪府立城東職工学校として開校しました。「地域産業連携重点型校」の認定を受け、地域社会への貢献に力を注いでいます。90年以上の歴史を有し、2万8千人以上の卒業生が産業界を含む様々な分野で活躍しています。

本校には機械系(機械技術専科、機械設計専科)、メカトロニクス系(ロボット工学専科、制御システム専科)、電気系(電気技術専科、電子情報通信専科)の3系6専科があり、生徒は2学年から各自が学びたい専門分野を選択し、専門知識を深めることができます。

工業高校がエジプトと交流?

最近、エジプトでは日本の教育システムに大きな関心が寄せられており、特に優れた製品をリーズナブルな価格で提供する日本の工業教育が注目されています。そのような状況の中、JICAのシニアボランティアとしてエジプトの技術サポートをした経験を持つ同僚の教員から、エジプトのエルアラビ高校と協力して、工業教育に関する交流を進めてみてはどうかという興味深い提案を受けて、取組を始めました。

具体的には両校の教員が一緒になって、工業教育の実習内容や評価方法などを研究しています。そして、これまでの取組から、生徒たちもお互いに交流できるいい機会だという結論に達し、今年で3回目となる生徒交流を実施しています。生徒交流は異なる文化や技術に触れ、お互いに学び合う素晴らしい機会となっています。

教員同士のミーティング

「エジプト」ってどんな国?

「11月にエジプトの高校とオンラインで交流会を行います。みなさん、エジプトはどんな国か知っていますか?」

生徒たちの答えは「ピラミッド」でした。エジプトといえば、多くの人がピラミッドを連想するのは理解できます。しかし、これからエジプトと交流する中で、彼らはどんな言語でコミュニケーションをとり、どんな食事を楽しんでいるのか、お金の使い方はどうなのか、などについてはまだよく分かりません。新たな文化や習慣に触れることは、知らないことばかりでワクワクします。

そこで、エジプトとの交流に向けて学習を始めることにしました。幸いなことに、本校は以前からさまざまな国との交流を行っており、校内には「国際交流委員会」という組織が存在しています。この委員会担当の教員から、エジプト出身の講師を紹介してもらいました。これで、エジプトの文化や習慣についてより深く学び、有意義な交流ができます。

講師は2回にわたり、学校でエジプトの文化や経済などに加えて、簡単なアラビア語の指導も行ってくれました。これにより、エジプトの言葉や文化に触れ、より深い理解が得られました。

  • アラビア語学習中
  • エジプトの衣装
  • エジプトのお金
  • アラビア語の勉強

いざ交流会へ

今回の交流会では、エルアラビ高校との協議の結果、城東工科高校が司会進行を担当することになりました。オンラインの場合は接続に関するトラブルが発生し、スタートが遅れることがありますが、今回は比較的順調に接続でき、イベントがスタートしました。
交流開始

まず城東工科高校から、1年生が製作した「城工電鉄」のプレゼンテーションが始まりました。入学した生徒全員が協力して製作した「城工電鉄」が、実際にレール上で動く様子を見せました。

次は、ライントレースロボットの説明です。ロボットの動きを通じて生徒たちの工学的なスキルを示します。分かりやすさを重視して、スライドを使って詳細に説明を行いました。

最後は、二足歩行ロボットを紹介しました。プログラムがロボットだけでなくコントローラーにも必要とされることなど、2人の学生が協力してその仕組みや機能について詳しく説明しました。
ロボットの説明中

当初の予定では、次にエルアラビ高校の作品紹介が予定されていました。しかし、エルアラビ高校の生徒たちが城東工科高校の作品に大きな興味を抱いたようで、質問が多く寄せられました。城東工科高校の生徒たちも丁寧に質問に答え、エルアラビ高校の生徒たちによく理解してもらえました。

次にエルアラビ高校から「クーラーボックス」と「指紋読み取り器」の紹介がありました。これらの技術は日本ではあまり注目されていないものでしたが、城東工科高校の生徒たちは興味津々で説明を聞いていました。説明が終わった後には、重さや温度などに関する多くの質問が寄せられ、生徒たちの関心の高さがうかがえました。

これまでの進行で予定の1時間を超えてしまいましたので、司会者の進行でイベントは終了となりました。

エルアラビ校の作品について質問中

まとめ

両国の間には7時間もの時差があります。この交流会を通じて、言葉や文化が異なる国の間でも、同じ技術を学んでいる者同士には共通の理解がたくさんあることを再確認できました。

今後、教員間の交流も企画しており、現在、日本の授業を動画にしてエジプトに送り、その動画を見ながら授業研究を行う計画を立てています。

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