ウガンダ共和国の遺児の支援施設での学力向上への貢献事業―あしなが育英会・NGOあしながウガンダと、公文教育研究会との連携―(令和5年度 応援プロジェクト:公文教育研究会)

はじめに

公文教育研究会ライセンス事業推進部では企業や財団、NGO、自治体など、多様なパートナーとの協働を通して、幅広い層に公文式を届け、社会課題の解決に貢献することを目指しています。KUMONグループのノウハウやリソースを、パートナーの様々な社会貢献の取組の場でご活用いただき、子どもたちから高齢者の方々まで、生涯を通して学ぶ喜びを届けたいと考えています。

あしなが育英会の取組と、協働のきっかけ

あしなが育英会は、病気や災害などで親を亡くした子どもたちや、障がいなどで親が働けない家庭の子どもたちを、奨学金や教育支援、心のケアなどで支える一般財団法人です。小中学生を対象にした『ラーニングサポートプログラム(LSP)』という独自の学習支援を行うなかで、「教育格差を埋めるためには、小中学生の時期から基礎学力を積み上げる必要がある」との課題感を持っており、公文式学習に関心を寄せられたことが協働のきっかけです。2022年から日本国内の遺児学習支援プログラムでの協働を経て、2023年にアフリカのウガンダでの教育支援が始まりました。

「あしながウガンダレインボーハウス」での支援活動について

東アフリカに位置するウガンダ共和国は2000年当時、エイズで親を亡くした子どもが世界でもっとも多い国のひとつでした。あしなが育英会は、日本で培われた心のケアの支援方法をウガンダの遺児にも役立てられないかと2001年より活動をスタートし、2003年には首都カンパラの郊外にあるナンサナという町で『あしながウガンダレインボーハウス』を開設しました。
『あしながウガンダレインボーハウス』では、小学生から高校生までの遺児に対する心のケアや、公立の小学校に通えない遺児を対象にした基礎教育支援の『テラコヤ』プログラムを行っています。子どもたちの「基礎学力」の維持・向上を図り、小6からの公立小学校への編入や、初等教育修了・中等教育への進学を後押しすることを目的とし、小1から小5までの約100名が通っています。今回の協働は、『テラコヤ』の学習の一部に、タブレットを用いた公文式学習の導入を行うものです。2023年より、小4、小5の約40名が授業の一貫として、週3日学習しています。2024年からは対象学年を拡大し、前年『テラコヤ』を卒業した小6の子どもたちへも長期休暇中に学習を提供し、学力とモチベーション維持・向上を目指しています。
あしながウガンダレインボーハウス外観写真

あしながの海外留学研修生が、指導運営体制を確立

現地では、あしなが育英会が日本から派遣する海外留学研修生(日本の大学生)2人が、指導運営体制を確立するサポートをしてくれました。2023年の研修生の2人は、自分が実践して見せたり、現地の先生の気持ちを深掘りして聞いてみたり、自分自身のこれまでの経験や現地の先生と築いてきた信頼関係をもとに、現地の先生方が意欲的・主体的に指導に携わってくださるように、たくさん試行錯誤をしてくれました。結果、想いも伝わり、先生方が自走、自立してくださるようになったのです。研修生帰国後は、現地の先生方のみで指導運営を行っています。
海外留学研修生の指導風景

『あしながウガンダレインボーハウス』の先生方や子どもたちの声

現地の先生だけでの運営になってからまだ半年少しですが、月1回の現地の寺子屋の先生方とのオンラインミーティングの中では、「KUMON TIME(注)はしっかりとやれている。子どもたちは日々、驚くほど成長している。今年度から新しく始めた子たちも、計算力、集中力がみるみる変わってきている」「子どもたちのほうから“KUMON TIMEいつ?”と聞いてくるくらい、やる気になっている」など、子どもたちが自発的に学習に取り組む様子を教えてくださいました。先生たちは自分たちの指導に対しても、確かな手応えを持ってくださっています。
授業風景1
(注:レインボーハウスの授業の一つとして位置づけられた、公文式をタブレットで学ぶ時間です。クラス時間内は、各々に用意された教材を、それぞれのペースで解きます。先生は机間巡視しながら、手が止まっている子がいないか、困っている子がいないか、生徒の手元や表情を見ながら、必要に応じて褒めたり、励ましたり、ヒントを与えたりします。また生徒が教材を解き終えて提出したら、その場で先生が採点をして、全て100点になったら終わりです。授業の終わりには今日の学習がどうだったか振り返りシートに記入をします。このようなKUMON TIMEが週2~3コマあります)
授業風景2

協働により、世界中の子どもたちの未来を変えていく

あしなが育英会の担当者からは、このような嬉しい言葉が聞かれます

「子どもたちは計算力を身につけることに限らず、日常生活でも時間を守ることや学習環境を整理整頓することの大切さを理解し、問題を解決する力や挑戦する姿勢とともに自信も養われています。こうした子供たちの姿に感動しています。また、子どもたちの『KUMONのおかげで、私にとって算数はもう“できないもの”ではなくなりました』という感想は、担当者としてはとても嬉しいものでした」

最後に、あしなが育英会との本協働を通じて実感している成果として、2つの点からお伝えいたします

一つは、異なる特長を持つ組織同士が、想いを同じくして共通の目的に向かって協働することで、新しい価値を生み出すことができるということです。
あしなが育英会の持つネットワークや国内外で培われてきた遺児支援のノウハウと、弊社の持つ誰でもいつからでも個人別に基礎学力を高めることのできるメソッドとが掛け合わさることで、これまで届けることのできなかった方たちへも学習機会を届けることができました。これは弊社だけでは実現できなかったことであり、社会の様々な強みを持つパートナーの皆さまと協働させていただくからこそ、社会課題の解決に貢献しうるKUMONの新しい可能性を感じることができています。

もう一つは、社会貢献への情熱を持った学生の存在が、国や組織・立場を超えて、関わる人に影響を与えることができるということです。
本事業で導入に携わってくれたあしなが育英会の海外研修生は、公文式指導は全く初めてでしたが、困難な場面でも諦めずに、子どもたちのため・先生方のために尽力してくれました。
今でも、子どもたちは学生たちに言われた言葉をよく覚えていて、いかに彼女たちの存在が大きかったかを感じます。
また学生にとっても、公文式指導サポートを通じて、子どもたち・先生の変化成長に携わることができたという大きな達成感に繋がっています。
この経験は、帰国後も彼女たちの中に強く残っており、その後の進路を描く上でも大きな自信になっているようです。今後も、あしなが育英会との協働を推進していくとともに、ここからの学びを踏まえてより多くの子どもたちのために取り組んでまいりたいと思います。

ウガンダ共和国の子供たちの写真
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