令和5年7月12~13日、岩手県北上市文化交流センターさくらホールは、3回公演(1,703人)の子供たちの熱気に包まれていました。イソップ童話「アリとキリギリス」をモチーフに、当法人のアーティスト「んまつーポス」と香港の芸術団体Unlock Dancing Plazaの創作ダンスから生まれた作品「キリギリスとアリ」が上演されたからです。キリギリスの視点から、人生を心豊かに楽しみながら過ごす生き方の大切さを子供たちに届ける作品です。本公演は、令和5年度北上市青少年鑑賞事業として実施され、市内全小学校(14校)の3、4年生が特別活動の文化的行事「鑑賞教室」の一環として参加しました。
鑑賞教室後の集合写真 | 鑑賞教室開演前の様子 |
んまつーポスとUnlock Dancing Plazaが「創作ダンス」 して生まれた作品『キリギリスとアリ』 |
カーテンコールの様子 |
写真クレジット:Jyunnosuke Nishi
7月13日には北上市立笠松小学校を訪問し、「キリギリスとアリ」の一場面を子供たちに作り上げてもらう創作ダンスのワークショップを実施しました。3、4年生29人が参加しました。子供たちからは「作品を観るだけではなく、自分たちがダンスを創ることができて嬉しかった。」という感想が聞かれました。
Unlock Dancing Plaza芸術監督のLock氏と子供たち | グループ単位で協働して正解のない課題(ダンス作品) に創造的・創作的に取り組む |
この瞬間、主役は私! | 子供の良い面や優れた面が、外部の大人 (芸術家等)によって引き出される |
写真クレジット:Jyunnosuke Nishi
今回の実践にともに取り組んだ香港の芸術団体Unlock Dancing PlazaのOng Yong Lock氏は、「今回、日本の学校や子供たちが芸術と出会う機会に立ち会うことができてよかったです」と語りました。香港では、学校などがスクール・カルチャー・デーを設け、子供たちが芸術団体の公演を無料で鑑賞できる機会がある一方、誰しもが創作活動に参加できる「創作ダンス」は体育のカリキュラムに含まれていないそうです。
日本では体育のカリキュラムに「創作ダンス」が含まれています。「創作ダンス」は、決まった振付に従って踊るのではなく、子供たちが自分のイメージしたことを、仲間とともに身体の動きで表現する活動です。正解や競い合いはなく、違いや個性が重視され、子供たちに豊かな創造力を育みます。しかしながら、指導にあたる先生方自身がダンスに触れた経験が少なく、その意義を実感できていないこと、指導への協力を得られる芸術団体との接点がないことなどから、日本の学校においても創作ダンスが十分、実施されているとは言い難い現状があります。
当法人及びその前身であるNPO法人MIYAZAKI C-DANCE CENTERは、平成29年より日本の特色ある創作ダンスを海外に紹介してきました。令和5年度からはEDU-Portニッポン応援プロジェクト「日本型教育『創作ダンス(SOUSAKU-DANCE)』に『鑑賞教室』(特別活動の文化的行事)をセットさせた『シン・SOUSAKU-DANCE』の海外展開事業」を通じ、海外での取組から得られた知見を日本国内に還元することにも努めています。
香港のスクール・カルチャー・デー等に着想を得て、日本の先生方や子供たちがダンスに触れ、その躍動感や感動を実感する機会として特別活動の文化的行事に位置づけられた「鑑賞教室」を活用し、創作ダンスの体験とセットで提供することで、創作ダンスの魅力を日本国内にも広めていきたいと考えています。
日本の学校の先生方、海外の日本人学校の先生方、次の鑑賞教室ではダンスを取り上げてみませんか。ご関心のある方は是非、当法人までご連絡いただけますと幸いです。
日本での実践を通じて得られた学びを海外に、海外での実践を通じて得られた学びを日本に還元する継続した取り組みを通じて、世界中の子供たちの豊かな学びに貢献していきたいと思います。
豊福彬文(一般社団法人namstrops 副代表理事)
連絡先:info@namstrops.com