琉球大学と海外協力機関による研究パートナー会議開催、論文3篇が国際科学雑誌に掲載(令和3年度調査研究事業:国立大学法人琉球大学) 

研究パートナー会議開催

 EDU-Portニッポン調査研究事業 “アジア太平洋島嶼のポストコロナの健康・安全な学校に関する研究”の活動である研究パートナー会議が、第1回:2021年10月8日、第2回:2021年10月29日、第3回11月19日にそれぞれ開催されました。このプロジェクトは、国際学校保健研究コンソーシアム理事長でもある琉球大学の小林潤教授が中心となり、インドネシアのマタラム大学医学部、フィリピン大学マニラ校公衆衛生学部、グアム大学保健学部が国際パートナーとして参加しています。また国内のパートナーである信州大学、大阪大学、帝京大学も同会議に参加しました。第1回会議では研究の趣旨や研究方法の確認を行い、第2回会議では、カリキュラム分析や政策分析についての各国での進捗状況等が議題となりました。第3回会議では、各国の学校保健に関する政策と指導要領(ガイドライン)の分析での研究進捗状況が報告されました。さらに、施策状況を確認するための質問紙の内容についても合意形成がなされ、それぞれの国での研究倫理申請準備も最終段階に入りました。

(写真:2021年10月29日 第2回研究パートナー会議/ZOOM)
 
 

国際的学校保健普及に関する論文3篇が国際科学雑誌に掲載

 研究パートナー会議の開催前に、実際の学校保健普及に関する各国データを収集した研究を行いました。
 まず、文献レビューを中心として学校保健の国際的普及に関しての知見を論文としてまとめ科学論文として出版しました。世界の低中所得国の学校保健の普及において継続性と自立発展性をどう担保しているか、意見をまとめました(1)。
 次に、本研究の主な対象地域であるアジア・太平洋地域において、なぜ学校保健の強化が急務であるのか、新型コロナパンデミック下の状況を分析し意見をまとめました。生徒への感染、生徒から家庭の感染だけではなく、学校閉鎖や分散登校によって教育の機会がうばわれることによる、負の社会的影響を論じています。日本で公開されているデータを分析し、昨年の後半期に学齢期の子供達の自殺件数が増加していることも根拠として示しています(2)。
 さらに、デルタ株のアジア・太平洋地域への流入にしたがって、子供達への感染が広がりワクチン接種が議論になりました。この点についてワクチンの開発と接種プログラムの進捗状況を分析し、子供へのワクチン接種の推進の必要性について先駆けて言及した論文をまとめました(3)。

(1) Perspectives of sustainable global school health promotion in Asia and Africa.
Kobayashi J, Takahashi K.
Pediatr Int. 2021 Sep;63(9):1009-1010. doi: 10.1111/ped.14867.

(2) Urgent need to strengthen school health in Asia and the Pacific islands.
Kobayashi J, Takeuchi R, Toyama Y, Gregorio ER Jr, Kadriyan H, Estrada CAM, Motomura M, Wake N, Yamada K, Ishikawa R, Takakura M.
Pediatr Int. 2021 Jul 14. doi: 10.1111/ped.14921. Online ahead of print.

(3) Recommendations for the urgent need to vaccinate school-aged and adolescent children against COVID-19 in the Asia-Pacific region.
Kobayashi J, Takeuchi R, Shibuya F, Murata Y, Takahashi K.
Trop Med Health. 2021 Sep 16;49(1):74. doi: 10.1186/s41182-021-00365-5.

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